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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 1979年12月7日 第29回定演(郵便貯金ホール)  指揮 田中信昭

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「回風歌」ができるまで

 「現代の若人が,アリオンメンが,今,最も唱いたいのはいったいどんな曲だろうか」-これが今回の委嘱の出発点でした。委嘱曲と言われるものは,これまで数多くの合唱団でいくつも作られています。もちろんアリオンコールもいくつかの委嘱曲があります。しかしただ単に作曲家に作ってもらい,曲ができてからどんな内容・曲相なのかを初めて知るというのがこれまでの委嘱の“型”のような気がします。そこて,そのような“型”に満足しきれず,もう一歩踏み込んてひとりひとりの内に燃え上がる何かをそっくりそのまま曲にして鳴ってみたくてどうしようもありませんでした。そのために今回,私達は委嘱委員会というものを設けました。

 その中でまず,何人かの現代詩人のリストの中に木島始という名を上げてくれたのは,木島先生と関係のある4年生のK氏てした。木島先生は,法政大学の教授でもあり,また,アリオンコール委嘱の「シンポジウムⅠ・Ⅱ」の作曲者,林光先生とも懇意にされている方て,数多くの出版物も出されております。
 次に委員会は田中信昭先生とも相談して,「これからのアリオンに是非とも必要」てある高橋悠治先生に作曲の方を担当していたださたいとお願いしました。そして,高橋先生からも了承をいただくことがてきたのてす。また,ピアニストとしても超一流の高橋先生は大変忙がしいのてすが,わざわざその貴重な時間をさいて私達に会っていただき,本当に感謝の気持ちでいっばいてす。両先生とも私達のわがままをきいて下さり,誠にありがとうございました。この紙面をかりて御礼申し上げます。

(第29回定期演奏会プログラムより)

「回風歌」の音楽について

高橋悠治

  合唱は、西洋のように声域によってではなく、声の質と音色によってわけられる。さまぎまな質と音色の声が、それぞれの運動法則にしたがいながら、いっしょになって一本の旋律をつむぎだしていく、これはアジアの伝統的な合唱のかたちといえる。

  風をめぐる歌は、息の色である人間の声にとって何とふさわしい主題ではないか。

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自作自注

木島 始

 じぶんの作品について、文章をあらたにつけくわえて書くというのは、じつは易しいことではない。作品は、公表されてしまっており、それぞれの印象をすでに持たれてしまっているのだから、余計な言葉は、たとえ作者のでも、耳ぎわりになりかねない。
 「回風歌」の題名は、中国の詩人李白の「古風その七」にある一旬「同風送天啓」からとった。「つむじ凪が天上の音楽をおくる」という意味であると、武部利男氏の注釈によって知った。故人となられた武部利男氏の李白の和訳は、まことにすぐれたもので、最近の拙著『もうひとつの世界文学』(朝日選書)に、武部訳李白詩にふれての文章が収めてあるので、興味ある方は御覧いただきたい。

 冒頭の「モーノ・モンドン・レーガス」mono mondon regasは、平等な立場での国際理解を意図してつくられたエスペラント語のことわぎで、「金が世界を支配する」という意味である。このことわぎは、他の多くのことわぎとともに、エスペラント語の創始者ザメンホフ自身がつくりだしたものだが、歌われるさいに、聴衆に必ずしも意味が理解されることを期待しているわけではない。くりかえし、くりかえされる殆ど無意味な言葉の連鎖のなかから、次の一旬が出てくればいいわけである。




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出版/録音 なし

※全日本合唱センター1993年「日本の合唱作品100選」に選ばれ、楽譜とレコードがベルギーの世界合唱センターに寄贈された。

演奏

法政大学アリオンコール
六連(第29回、第33回、第36回、第41回、第57回)
法関(第20回、第26回、第32回〈合同〉、第38回(合同))
定期(第29回、第30回、第34回、第37回、第42回、第47回、第49回、第50回、第53回、第55回、第58回、第61回、第63回)

関西大学グリークラブ、東北学院大学グリークラブ

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第47回定演「回風歌」高橋悠治先生と