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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


未定

メッセージ

杉山洋一

  この作品を阪神大寒災のすべての哀しみに捧げる。

この事は、初めて田中先生よりお話を頂いた時からずっと念頭にありました。
その思いを件品に託すという事が何を意味するのか分かりませんが、何かをどうしても書き留めておきたかったことは確かです。
辛い記憶です。

この作品を書きながら、その哀しみの深さに自分が吸い込まれそうになります。
自分がぼっかりと口を開けた暗闇の穴の前に辛うじて立っている気分になります。
そこに立って穴の奥から聞こえてくる声に耳を澄ますうち、自分の存在がこの作品から完全に払拭されるのを感じていました。
そこには詩と音楽とそれを結びつける無数の声だけがありました。

このテキストとは、大好きな須賀敦子さんの本の中で、その小節と出会ったのが始まりでした。そのサバの詩は山瞬の感情をそのまま永遠に閉じこめてくれるような、生々しい僕らの感情の中枢だけを抽出し、透明なガラス箱の中にそれを客体化して僕ら自身に見せてくれる鏡のような、そんな素晴しさに溢れていました。

本当は須賀さんのような素晴らしい方の全詩の邦訳があればよかったのですが、残念ながらどうしても見つけられませんでした。僕の拙い訳を添えるのには非常に抵抗を感じますが、それも今の自分がこの時間に生きていた諒としてここに載せることにします。

田中先生、及びアリオンコールの皆さんには心から感謝するばかりです。演奏に立ち合えないばかりか、元来の遅番きがたたってなかなか仕上がらなくて、本当に言葉もありません。
田中先生は勿論のこと、アリオンコールの皆さんの素晴らしさは、昨年の定期演奏会を聴かせて頂いて以来、良く存じておりました。

作曲の機会を与えて下さったアリオンコールの皆さん、そして、とにかく自由に書いて下さいと励まして下さった田中先生の優しさに感謝しつつ。

(この作品は演奏未定作品です。1997年現在)

出版/録音 なし

 1995年第45回定期演奏会で初演を演奏する予定で、パンフレットにも入稿していた曲ですが、結局演奏会当日には完成できず、定期演奏会での演奏はできなかった。
 以後の演奏の記録もない。