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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 2008年11月29日 第58回定演(国立オリンピック記念青少年総合センター大ホール)
指揮 田中信昭

池辺晋一郎作曲 「男声合唱のためのエチュード」解説

  • 5度のエチュード
  • 2度のエチュード
  • 休符のエチュード
  • 長音のエチュード
  • 滑舌のエチュード

 ある日、田中信昭さんから電話をいただいた。合唱のためのエチュードがあったら面白いのではないか、と田中さんは言い、ただちに僕も同意した。上海音楽院そばの露店で、合唱練習のDVDを買い求めたのと(こういうものを路上で売っているのがいいですね)この電話での会話とどちらが先だったろう。とにかく、僕も「エチュード」に興味が行きやすくなっていたのである。ピアノにもヴァイオリンにも、その他あらゆる楽器演奏の修練のためにエチュードがある。「コールユーブンゲン」や「コンコーネ」など声楽分野にも、ある。だから合唱にも!
 エチュードとして必要なものはたくさんある。いくつでも書けると思った。加えて、こういうものは混声にも女声合唱にも必要なのだ。男声合唱に特定することのほうが難しい。が、その優れた活動に関してかねて知識を持っている法政のアリオンコールなのだから、発想ののちのアプローチはスムースであった。

 別掲の5曲を書いたわけだが、書き終えた実感がない。それは、前述のとおり、いくつでも可能だからである。とはいえ、まずは一つのテクスチュアを作ろうと考えた。すなわち縦織りとして、音程練習である「5度」と「2度」の2曲。横織りとして「休符」と「長音」の2曲。そしてタテヨコのいわば接点であるべき「滑舌」を加えた計5曲。
「言葉」をどうすべきかで、苦労した。結局ハミングやスキャットなどで自由に構成したが、「滑舌」だけは敢えて何語でもない発音を設定したかったゆえに乱数表で言葉を作成した。
 実はこの秋、合唱作品だけで初演が8曲ということになってしまった。本日(11月29日)も関西での初演と重なり、あちらが先約なので、この「エチュード」の初演を聴くことができない。残念である。
 この「エチュード」、このあとも書き続ける予感がしている。混声や女声などについてもいつか書くのではないか、という気がしている。もしそういうことになれば、長く続く仕事になるだろう。きょうは、その出発の日だ。
 機会を下さった田中信昭さん、そして法政大学アリオンコールの諸君に感謝している。
 拙作の出発の無事と、きょうのコンサート全体の大成功を祈りつつ‥‥。

                      (第58回定期演奏会パンフレットより)

出版/録音 なし

演奏 

法政大学アリオンコール
定期(第58回〈初演〉)