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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 1976年6月14日 第15回法関(都市センターホール) 指揮 田中信昭

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黒人霊歌・編曲にあたって

外山雄三

 日頃尊敬している田中信昭さんから突然電話を頂いた。黒人霊歌を男声合唱用に編曲しろ、とのことである。黒人霊歌も、男声合唱も、好きではあるが、よく知っているわけではないから全く自信がない、だから、と御辞退したのだが、長い電話が終ってみたら、何となく引き受けていた。田中さんの、すすめ上手、というものであろう。男声合唱だけのために作曲したことが、まだない。もう七年ほど前に、京大合唱団に初演してもらうオーケストラつきの作品を書いて、当時の京大合唱団の男声が大変優秀だったので、書法が男声にかたより、女性団員諸氏から「いい所はみんな男声で、私たちはどきどき、高い音でキャーというだけ」とお叱りを受けた。

敗戦後間もなく、デ・ボーア合唱団という、黒人の兵隊さんばかりの男声合唱団がやってきて、すばらしいうたをきかせ、その豊かな声に圧倒されて会場を出るときになって、そういえばユニソンやオクターヴが多かったと気がついて、あらためて呆然としたのもなつかしい。ポール・ロブスンや、マリアン・アンダースンの黒人霊歌はすばらしいけれど、矢張、それよりも、緻密なアンサンブルと、すきのないハーモニーをつくりだしながら、実に自由で、いきいきと即興を続けて行く合唱が他にはない魅力を持っている。
 今度の編曲は、試作ではないが、第1作である。「自由な、いきいきとした即興」を五線紙に定着させようとする所までは踏み出していない。しかし、いまや名声天下にひびく法政大学アリオンコールと関西大学グリークラブの合同とあっては、ユニソンやオクターヴの魅力を最大限に示したくなった。編曲者として使用可能音域のせまさに欲求不満になりそうなのを辛うじて耐えたのは、寸分狂いのない音程でうたわれるユニソンの、くらべようのない、壮絶な魅力と迫力である。シェーンベルク「ワルソーの生き残り」の終り、あのシェア・イスラエルを私は忘れられないのである。

出版/録音 なし

演奏

法政大学アリオンコール・関西大学グリークラブ
法関(第15回〈初演〉)