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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 1954年6月7日 第3回六連(日比谷公会堂) 指揮 磯部 俶

「若人の歌」によせて

磯部 俶

 “若人の歌”は四日間で書いた。-といふよりは本當は書き上げなくてはならなかつたのだが、そういう種々の事情による時間的制約をすつかり忘れて楽しく書くことが出来た。
 恰度、僕達のグループ“遊撃会”の演奏会があつたりして、ずい分忙しい折だつたのに、五線紙にむかうと、思いのほか曲想も早くまとまり、すらすらとペンが動いた。

 愛する彼等若人たちの輝しい歌馨が、あとからあとから僕の胸の中にはつきりと響いて絶えることがなかつた。
 僕は机の前に坐りしつかりとペンを握つてたゞ一生懸命にその歌聲を追いかければよかつた。
 なんと素晴しい楽しさだつたろう。

 僕はこのつたない作品を、合唱を愛する若い諸君に、心から捧げたいと思う。

「若人の歌」に添へて

四條八十

 水無月の青葉の苑で、若人の大合唱が行はれる。なんといふ楽しい情景であらう。かれらの瞳はオリオンのやうに輝き、かれらの唇は杜鵠花(さつき)の葩(はなびら)のやうに紅い。歌聲につれて、若き魂は相呼び相應へ、互に、中に在る清ものをいよいよ清め、高き飛翔の決意をいよいよ固め合ふ。

仏文学者モオリス・プローンシュヴイックは、「合唱の中に籠るヴイプラシオン・サンクローンほど、高い協同一致の精神をつくるものは無い」
と説いた。
 けふここに湧くほがらかな歌聲よ。その大なる谺よ。くらく世界を汚染する、不吉(ふきち)なる原子雲を一掃せよと、切に念じつつ、「若人の歌」一篇を贈る。

出版/録音 なし

演奏

東京六大学合唱連盟(第3回合同〈初演〉)