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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 1968年5月26日 第17回六連(東京文化会館) 指揮 前田幸市郎

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解説

藤原義久

 始めに、前田幸市郎先生、六大学男声合唱のメンバーの諸君に心から感謝いたします。題名にある「祈り」という言葉は、特定の宗教に関係した宗教音楽のことではなく、「祈り」に似た気持ちで善かれた曲といった意味でしかありません。
したがって歌詞の取扱いは極めて自由で、一曲一曲が独立した小品になっています。それぞれについて簡単に解説しましょう。
 Ⅰ 前奏曲
 「混乱した祈り」バスから始まる梵語の光明真言「効験のむなしからぬ遍照の大印よ、宝珠と蓮花と光明との徳のあるものよ、我を転ぜしめたまえ。」の上に、第Ⅰテナーが、詩篇第51篇の一節「あわれみたまえ我を、神よ、おんいつくしみをもって、大いなるおんあわれみをもって消したまえ我が不義を」を、ラテン語で歌い出す。さらにその仏教リズムとキリスト教聖歌の奇妙な対比の流れに、ミサ目頭の「kyrie」を第1テナーとバリトンが荒々しくたたきつける。pからffへ。
やがて祈りは諦めのつぶやきとなって消滅する。

 Ⅱ 行進曲のリズムで
 銀座のあるレストランで、一人ポツンと食事をしているベトナム帰休兵を見た時、ふと浮かんできた旋律と言葉「夢をみた。傷ついて私を呼ぶお前の夢を。」を「深みよりわれ主を呼びたてまつる」というラテン語の祈りの上に、何回も繰り返したもの。叫びにも似た祈り。
 Ⅲ 地球の緑の丘
 エスペラント語でそっとつぶやいた祈り。R・A・ハインラインのS・F小説「地球の緑の丘」の中で、盲目の宇宙飛行士がうたう詩の一節は次のようなもの。「…‥‥やすらわしめ
よ我が目を、白雲群がる青空に、緑なす地球の山々に。」
 Ⅳ ロンド・アレルヤ
 喜びの祈り。ラテン語で「うたえ主に。新しき賛歌を、うたえ全地よ、アレルヤ。」が、変転極まりないリズムで活発に演奏される。これがロンドの主題である。次の第1エピソードは軽快な対位法の流れの上に、第Ⅰテナーが思いおこす「地球の緑の丘」の一節である。主題再現。さらに「永遠の世界にいます釈迦如来に帰依せん。」という梵語の祈りと、ロンド主題をなすラテン語の祈り、第Ⅲ曲のエスペラント語の一節が組合わさって第2エピソードを形づくり、最後のクライマックスヘと曲をもりあげる。再度ロンド主題が復帰し圧倒的なアレルヤで曲を結ぶ。

出版/録音 なし

演奏

東京六大学合唱連盟(第17回合同〈初演〉)

  • 東京六大学音楽部コールアカデミー
  • 京都大学グリークラブ