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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 1993年5月1日 第42回六連(東京文化会館) 指揮 田中信昭

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メッセージ

林 光

 万葉集の巻八に、延々つらなる、三十余首の「ほととぎす」の歌は、そのあまりの特異な構成ゆえに、苦からさまぎまな憶測が絶えない。隠された意図があるのではないか。あからさまに名指しできない誰かの追悼の辞が、ひそかに埋めこまれているのではないか、というわけだ。それはそれで興味深いもんだいだが、今回の作曲では、そういった憶測とはいっさい関わりなしに、あるがままの歌として、数首をえらび、テキストとした。

 かなしみのうた、ということばに、いちおう「哀し」という字をあててタイトルとしたが、「かなし」は古来「愛し」とも通じることばであった。古代の人びとが、こみあげてくる感情のゆれうごきを、分類するのでなく、互いに混じり合う不思議な状態としてとらえようとしていたことを、「かなし」の用法が語っている。○×答案やアンケートと称するおぞましい思想調査がはびこる、わたしたちの時代からは、うらやましくもまぶしい世界ではないであろうか。

出版/録音 なし

演奏

東京六大学合唱連盟(第42回合同〈初演〉)