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アリオン100.jpg法政大学アリオンコール HISTORY


初演 2009年5月3日 第58回六連(東京芸術劇場大ホール) 指揮 山脇卓也

北川昇 

初演によせて

 「六連」の合同ステージに新曲を…という依頼を頂き、とても驚きました。このような大きな演奏会のために曲を書かせていただけるのか、と。
 作曲するに当たって考えたことは、今後の男声合唱にとって新しいレパートリーになり得るものを…ということでした。合同ステージのような大編成でしか演奏できないものよりも、どんな人数でも演奏が可能であり、学生指揮者やアマチュアの指揮者でも取り組めるものでありたい-そのように考えながら作曲しました。

 テキストには立原道造の詩から5編を選びました。立原は24歳でこの世を去るまで建築と詩作の面で活躍した人物で、多くの作曲家が彼の詩に作曲をしているのは合唱ファンならご存知かと思います。今回の5編はちょうど今日演奏して下さる学生の皆さんとはぼ同年齢の時に善かれたもので、立原の生きた時代と現代ではあまりにも違いがあるとはいえ、「同年代の男」として時空を超えて何かを感じ取ってくれるのではないか…という思いもあります。
 自分を推薦して下さった指揮の山脇卓也さんと、今日歌って下さる六連の皆さん、作曲段階で激励し続けてくれた親友に、心からの感謝を捧げます。
 立原の詩を読む度に、自分は言葉の中に「歌」を感じずにはいられません。彼が何を思って「歌って」いたか、初演に立ち会って下さった皆さんに少しでも感じていただければ幸いです。

(第58回六連パンフレットより)

山脇卓也 

初演によせて

 六連理事の学生たちから合同指揮の依頼があったのは昨年の夏のこと。僕なんか引っ張り出して一体何をやりたいのか?という疑問がとても大きかったのだが、何度か話し合いを重ねていく中で「自分たちの作品を生み出したい」という野望を見せた。そのときふと思い浮かんだのは、僕がかねがね尊敬し、ぜひ男声のオリジナル作品を書いて欲しいと思っていた北川昇さんの存在だった。年齢も学生たちに近く、多くの言葉を費やさなくとも感性の部分で歌い手と作曲家が結び付けられるのではないか……。北川さんは本当に忙しいスケジュールにも関わらず、心意気に感じて快諾してくださった。その後、送ってくださった詩が立原道造の作品。24歳という若さでこの世を去った詩人の21~22歳の時の詩だった。

 立原と同じ「時」を生きる学生たち、そして作曲家も。北川さんは、願ってもない組み合わせを準備してくださったのだ。そして出来上がった作品はとても素晴しく、若い感性に溢れた美しい作品に仕上がっている。
 僕が常に心がけていることは歌い手の「歌いたい」という気持ちを大事にしたいということ、そしてその背中をそっと押してあげること。19~23歳(以上もいる?)の学生たちが21~22歳の立原道造の言葉をどのように感じ、そして24歳の北川昇の音楽をどのように歌うのか。20代前半の「詩人」「作曲家」「歌い手」の中で一人30代の僕はちょっと寂しく、戸惑いながらも彼らの背中を押してみたいと思う。瑞ウしい感性のぶつかり合いと学生ならではの
一瞬のきらめきを感じていただけたら、と思う。
2009年4月5日 自宅にて

(第58回六連パンフレットより)

出版:カワイ出版
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録音 なし

演奏

東京六大学合唱連盟(第58回合同〈初演〉)